ソウル滞在中に2つのクリニックでカウンセリングを受けると、金額の違う見積もりが2枚手元に残ることがよくあります。比べる前にそろえたい項目は6つあります。機器名(または製剤名)、ショット数・量・単位、製剤の種類(輸入品か韓国製か)、施術する部位の範囲、VAT(付加価値税)が含まれているか、アフターフォローが含まれているかです。どれか1つでも違えば、合計金額をそのまま比べても意味がありません。安く見える方が少ない量や別の製剤だった、ということは珍しくないからです。この記事では、2枚の見積もりを同じ条件にそろえて読む方法と、その場で決めずに落ち着いて選ぶためのメモの取り方をまとめます。
2つの見積もりは、なぜそのまま比べられないのですか?

ソウルのクリニックでは、同じ名前で呼ばれる施術でも、何を基準に値段をつけているかがクリニックごとに違うためです。
韓国のメニューは単位がそろっていません。リフティング機器はショット数、エネルギー型の機器はkJ、スキンブースターやボリューム系の製剤はcc、フィラーは「部位」ごと、ピーリングやトーニングは「1回」ごと、という具合です。たとえば「リフティング A院 30万ウォン、B院 50万ウォン」と並んでいても、A院が100ショット、B院が300ショットなら、1ショットあたりではB院の方が安いことになります。
さらに、片方にはVATや麻酔クリーム、再診が入っていて、もう片方には入っていない場合もあります。合計金額は中身の違う2つの箱の値札にすぎないので、まず中身をそろえる必要があります。
見積もりで必ず確認したい6つの項目は?
最初の確認は、その場でメモか写真に残してください。6つあれば、ほとんどの見積もりを同じ条件にそろえられます。
1. 機器名・製剤名(正式な名称) 「HIFU」「リフティングレーザー」といった一般名だけでは、どの機器かわかりません。正規ブランド名とモデル名まで聞いてください。名前の似た機器はいくつもあり、出力の考え方も1ショットの中身も同じではありません。ブランド名と一般名の読み分け方は「ウルセラ」と「HIFU」は同じもの?で詳しく解説しています。
2. ショット数・量・単位 リフティングなら何ショットか、スキンブースターなら何ccか、ボトックスなら何単位か。「全顔」「1回」と書かれていても、その中身が何ショット・何ccなのかを数字で確かめます。
3. 製剤の種類(輸入品か韓国製か) ボトックスやフィラーは、同じ部位でも輸入品と韓国製で値段が大きく違うのが一般的です。ソウルでは数倍の差になることも珍しくありません。どちらを選ぶかは好みと相談で決めればよいのですが、比べるときは同じ種類どうしで比べてください。
4. 部位の範囲 「フェイスライン」「頬」「目の下」がどこからどこまでを指すかは、クリニックによって違います。片方は頬全体、片方は頬の一部、ということもあるので、範囲を指でなぞって確認してもらうと確実です。
5. VATが含まれているか 韓国の美容目的の施術には、一般に10%のVATがかかります。メニューの金額が税抜きか税込みかで、合計は1割変わります。見積もりの数字の横に「VAT込み/別」と書き添えておきましょう。
6. アフターフォローが含まれているか ボトックスのリタッチ、フィラーの再診、施術後の鎮静ケア、麻酔クリームの料金などです。リタッチや再診の条件は施術によって意味が違うので、韓国・ソウルで施術前に確認したい「リタッチ」と「再診」の条件もあわせてご覧ください。
このほか、医師を指名すると追加料金がかかるか、支払い方法によって金額が変わるかも聞いておくと、あとで差額に驚かずにすみます。
安い方の見積もりが、同じ施術とは限らないのはなぜですか?
金額の差の多くは、量・製剤・範囲・付帯内容のどれかが違うことから生まれるからです。よくあるのは次のようなケースです。
- 量が少ない:リフティングのショット数やスキンブースターのcc数が少なければ、そのぶん安くなります。ただし少ない量では変化が小さかったり、効果が早く落ち着いたりする場合があります。
- 製剤の種類が違う:輸入品と韓国製のどちらが自分に合うかは医師と相談して決めることですが、種類が違う2つを比べて「こちらが安い」と考えるのは正確ではありません。
- 範囲が狭い:同じ「フェイスライン」でも、あごの先まで含むかどうかで量が変わります。
- 付帯内容が入っていない:VAT・麻酔・鎮静ケア・再診が別料金なら、最終的な支払いは見積もりより高くなります。
逆に、高い方が必ず「良い」わけでもありません。量が多すぎる提案や、自分には不要な追加が入っていることもあります。施術室で追加をすすめられたときの考え方は施術室で「追加オプション」を勧められたらどう決める?にまとめています。
どちらのクリニックを選んでも、仕上がりには個人差があります。ダウンタイム(赤み・腫れ・内出血など)や副作用の可能性は、値段にかかわらず施術そのものに伴うものです。安さや高さを、安全性や仕上がりの保証と考えないでください。
2つの見積もりをそろえるメモは、どう取ればいいですか?
カウンセリングを終えたら、記憶が新しいうちに同じ形式の表に書き写すと比べやすくなります。スマートフォンのメモに、次のような表を作っておくと便利です。
| 項目 | A院 | B院 |
|---|---|---|
| 機器名・製剤名(正式名称) | ||
| ショット数・cc・単位数 | ||
| 製剤の種類(輸入/韓国製) | ||
| 部位の範囲 | ||
| 提示金額(KRW) | ||
| VAT込み/別 | ||
| 麻酔・鎮静ケアの料金 | ||
| リタッチ・再診の条件 | ||
| 医師指名の追加料金 | ||
| 説明してくれたのは誰か(医師/コーディネーター) | ||
| 施術できる日・ダウンタイムの目安 |
金額は、KRWのほかに日本円の目安も書いておくと判断しやすくなります。ただし為替は日々動くので、「おおよそ」で十分です。
メモのコツは3つあります。
- 見積書やメニュー画面は写真に残す:口頭で聞いた数字は、あとで混ざりやすいものです。手書きの見積もりでも撮らせてもらえるか聞いてみてください。
- 空欄は空欄のまま残す:聞きそびれた項目を推測で埋めないでください。空欄は「次に聞くこと」のリストになります。
- 医師の説明とコーディネーターの説明を分けて書く:金額や組み合わせを説明するのはコーディネーター、施術が適しているかを判断するのは医師、という役割分担が多いためです。詳しくは韓国・ソウルのカウンセリング、話す相手はコーディネーター?医師?で紹介しています。
その場で決めずに、落ち着いて選ぶにはどうすればいいですか?
旅行の日程に「比べる時間」をあらかじめ組み込み、カウンセリングと施術を同じ時間にしないことです。
ソウルでは、カウンセリングのあとにそのまま施術へ進む流れが一般的です。とても便利な反面、比べる前に決めてしまいやすくなります。次のような進め方をおすすめします。
- カウンセリングは旅行の前半に集める:2院とも1日目か2日目に回れば、その夜に比較して、翌日以降に施術を予約できます。
- 「今日はカウンセリングだけです」と最初に伝える:言いにくければ、予約のときに伝えておくと気が楽です。相談のみで来院するときの流れは施術を予約せずに「カウンセリングだけ」受けてもいい?をご覧ください。
- 見積もりの有効期限を聞く:「今日決めればこの値段」と言われたら、その条件が何日まで続くのかを確認します。
- ダウンタイムから逆算する:フィラーやボトックスは、腫れや仕上がりの確認のために旅行の前半がよいとされることが多く、注射系のスキンブースターは内出血の可能性があるため帰国直前に回されることもあります。施術日の希望によっては、比べる時間がほとんど残らない場合もあります。
どちらにも決められないときは、今回は受けずに帰国するのも立派な選択です。写真を送って事前相談をし、次の渡航で受ける方法もあります。
見積もりの比較だけで決めない方がいいのは、どんなときですか?
次のような場合は、金額よりも先に確認しておくことがあります。
- 機器名や製剤名を教えてもらえないとき:比べようがないので、その日の施術は見送ってもよいかもしれません。
- 持病・服用中の薬・妊娠や授乳中の可能性・顔に残っているフィラーがあるとき:施術そのものが適さないこともあるので、まず医師の診察を受けてください。
- 2院で施術内容そのものの提案が違うとき:たとえば片方はリフティング機器、もう片方はフィラーをすすめた場合です。金額ではなく、なぜその提案になったのかを、それぞれの医師に聞く方が大切です。
- すぐに大きな変化を求めているとき:多くの施術は、効果が落ち着くまでに数日から数週間かかります。1日で劇的に変わることは、生理学的に期待しにくいと考えてください。
比較の一例として:MIO Clinicのメニューはどう読めますか?
Seoul Skin Notes は MIO Clinic が運営しています。
江南駅近くの MIO Clinic は、メニューの単位と製剤の種類を一行ずつ分けて公開しているので、ここまでの6項目に当てはめて読める例のひとつです。以下はいずれも執筆時点の公開メニューで、金額はVAT別、医師を指名する場合は KRW 100,000 が加算されます。円換算はおおよその目安です。
- リフティング(ショット数で比べる例):「ウルセラプライム 300ショット」KRW 1,090,000(約12万円)、「ウルセラプライム 600ショット」KRW 1,890,000(約21万円)。機器名とショット数が同じ行に書かれているので、他院の見積もりとも1ショットあたりで比べられます。麻酔を使う施術で、旅行のどの日に受けてもよいとされています。
- フィラー(部位と製剤の種類で比べる例):「唇フィラー(ジュビダーム, レスチレン, ベロテロ)」KRW 349,000(約3.8万円)と「唇フィラー(韓国製)」KRW 99,000(約1.1万円)が別の行です。同じ唇でも製剤の種類によって3倍以上の差があります。注入量はカウンセリングで決まるため、メニューにcc数は固定されていません。MIOでは、フィラーは旅行の初日に受けることをすすめています。
- ボトックス(製剤の種類で比べる例):「しわボトックス(アラガンオリジナル)3部位」KRW 189,000、「しわボトックス(ゼオミン, ディスポート)3部位」KRW 139,000、「しわボトックス(韓国製プレミアム)3部位」KRW 39,000 が並んでいます。比べる相手の見積もりがどの製剤かを確かめてから並べてください。
MIOには経験のある医師が4名在籍し、それぞれ主に担当する分野があります。リフティングやフィラーの量の考え方を聞きたい場合は、ボトックス・フィラー・リフティングを主な分野とする医師がいることをふまえて、カウンセリングで担当分野を尋ねてみてください。どの医師が担当になるかは予約のときに決まります。
カウンセリングでは、詳しい写真撮影とAIによる顔の分析を行い、その結果をもとに医師が計画を立てます。分析は診断ではなく、医師の判断を助けるものです。肌の分析スキャンに追加料金はかかりません。MIOは日曜日も診療しているので、短い旅行でカウンセリングを2院回る日程も組みやすくなります。
FAQ
Q. 見積もりの金額はVAT込みですか? A. クリニックによって違います。韓国の美容目的の施術には一般に10%のVATがかかるため、金額の横に「VAT込み/別」を必ず書き添えて比べてください。
Q. 2つのクリニックでカウンセリングだけ受けても失礼になりませんか? A. 最初に「今日はカウンセリングだけです」と伝えれば問題ないのが一般的です。カウンセリングに料金がかかるかどうかは、予約の時点で確認しておくと安心です。
Q. ショット数が違う見積もりはどう比べればいいですか? A. 機器名が同じであることを確かめたうえで、金額をショット数で割り、1ショットあたりの値段で比べます。機器が違う場合は、1ショットの中身も違うため、単純には比べられません。
Q. 安い見積もりを選んでも大丈夫ですか? A. 金額だけでは判断できません。量・製剤の種類・部位の範囲・付帯内容がそろっていれば比べられますが、量が少なければ変化が小さい、効果が早く落ち着くといった違いが出る場合があります。仕上がりには個人差もあります。
Q. 「今日決めればこの値段」と言われたらどうすればいいですか? A. その条件がいつまで有効かを聞き、見積もりを写真に残して、一度持ち帰って比べるのがおすすめです。焦って決める必要はありません。
Q. 見積もりをもらうとき、何をメモしておけばいいですか? A. 機器名・製剤名、ショット数や量、製剤の種類、部位の範囲、VATの有無、リタッチや再診の条件、医師指名の追加料金です。聞きそびれた項目は推測で埋めず、空欄のまま残して次に確認しましょう。
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