ソウルの美容クリニックでは、フィラーの価格を「1cc(1本)いくら」ではなく、「鼻」「唇」「あご先」のように部位ごとの料金で表示していることがよくあります。部位ごとの料金には、注入量の目安・施術の手間・麻酔などがまとめて含まれていることが多く、「その部位を仕上げるための料金」という考え方です。ただ、ccで価格を出しているクリニックとはそのまま比べられません。同じ部位でも製剤の種類によって価格が大きく変わることもあるため、見積もりを受け取ったら「どの製剤を、どのくらい、何が含まれた金額なのか」を確認すると、思っていた内容との食い違いを防げます。
この記事では、MIOクリニック(ソウル・江南)が公開しているフィラー価格表を例に、部位別の価格の読み方と、クリニック同士を比べるときの注意点を整理します。価格はすべて執筆時点で公開されているもの・VAT別です。円の金額は1ウォン≒0.108円で計算した目安で、為替によって変わります。
フィラーの値段が「部位」で書かれているのはなぜですか

部位によって、必要な量・注入の技術・時間がまったく違うためです。ccで値段を決めると、その違いが料金に反映されにくくなります。
たとえば鼻は少量でも形への影響が大きく、細かい調整が必要な部位です。ほうれい線や頬は、範囲が広くなるほど量が増えやすい部位です。唇は量が少なくても仕上がりのバランスに気を配る必要があります。1ccあたりの単価をそろえると、「少ない量で済むけれど手間のかかる部位」と「量は多いけれど比較的シンプルな部位」の違いを料金に反映できません。
部位別の価格には、次のような考え方が背景にあります。
- 患者さんにとって分かりやすい:「何cc必要か」は診察するまで分からないので、最初から「鼻ならこの金額」と示した方が予算を立てやすくなります。
- 量の判断が料金に左右されにくい:ccごとの課金だと、量を増やすほど料金も上がります。部位の料金に一定の範囲が含まれていれば、量は仕上がりを基準に決めやすくなります。
- 施術の手間も含めた料金になる:麻酔の有無、使う針の種類、注入の層などは部位ごとに違うため、部位でまとめた方が料金体系として自然です。
一方で、部位の料金に実際に何cc入るのかは価格表に書かれていないことがほとんどです。これが、クリニック同士を比べにくくなる一番の理由です。
「1cc」「1本」「1部位」——単位が違うと何が比べられなくなるのか
単位の違う価格を並べても、「同じものにいくら払うのか」の比較にはなりません。
ソウル全体を見ると、フィラーの価格は主に次の三つの形で表示されています(あくまで一般的な傾向です)。
| 表示のしかた | 価格に含まれるもの | 比べるときの落とし穴 |
|---|---|---|
| 1cc(1本)あたり | 製剤の量が基準。必要量によって合計が変わる | 1部位に何cc使うかが分からないと、合計額が読めない |
| 1部位あたり | その部位を仕上げる料金。量は診察で決まる | 「何cc入るか」が書かれていないことが多い |
| 製剤ブランド+部位 | ブランド名と部位がセットで表示される | 同じ部位でもブランドが違えば別の価格になる |
「Aクリニックは1cc 10万ウォン、Bクリニックは鼻 15万ウォン」と並べても、Bの鼻に何cc入るのか分からなければ、どちらが高いかは判断できません。もし鼻に1cc未満しか使わない場合、cc表示のAの方が合計は安くなる可能性もありますし、逆の場合もあります。
もう一つ見落としやすいのが、同じ「部位」という言葉でも、クリニックによって範囲が違うことです。「ほうれい線」が左右両側の料金なのか、「頬」が前頬だけなのか側頬まで含むのかは、価格表の名前だけでは分からないことがあります。
同じ部位でも価格が2.5〜3.5倍違う:MIOの輸入ラインと韓国製ライン
MIOの価格表では、多くの部位が2行ずつ載っています。ジュビダーム・レスチレン・ベロテロのいずれかを使う輸入ラインと、韓国製ラインです。同じ部位でも、この2行で価格が大きく違います。
| 部位(MIO価格表の表記) | 輸入ライン(ジュビダーム/レスチレン/ベロテロ) | 韓国製ライン |
|---|---|---|
| 鼻フィラー | KRW 399,000(約43,100円) | KRW 159,000(約17,200円) |
| 唇フィラー | KRW 349,000(約37,700円) | KRW 99,000(約10,700円) |
| 顎先フィラー | KRW 299,000(約32,300円) | KRW 99,000(約10,700円) |
| ほうれい線/前頬/側頬 | KRW 349,000(約37,700円) | KRW 99,000(約10,700円) |
| フェイスライン/マリオネット | KRW 349,000(約37,700円) | KRW 99,000(約10,700円) |
| 額/眉間/こめかみ | KRW 349,000(約37,700円) | KRW 129,000(約13,900円) |
※執筆時点で公開されている価格・VAT別。
唇やほうれい線では約3.5倍、あご先では約3倍、鼻では約2.5倍の差があります。「ソウルのフィラーは1部位1万円台から」という情報だけを見て予約すると、カウンセリングで輸入ラインを選んだときに予算が大きく変わります。見積もりを見るときは、部位の名前だけでなく「どちらのラインか」まで必ず確認してください。
このほかに、ラインが1種類だけの行もあります。
- 涙袋フィラー(ベロテロソフト):KRW 349,000(約37,700円)。韓国製ラインはありません。
- 額/首フィラー(ベロテロソフト):KRW 299,000(約32,300円)。
- 唇フィラー+口角ボトックス(韓国製):KRW 109,000(約11,800円)。唇のフィラーと口角ボトックスを組み合わせた行です。
価格の差は使う製剤の違いによるもので、この記事ではどちらのラインが優れているかを判断していません。仕上がりの好み、部位との相性、持続期間の考え方などは、カウンセリングで医師に相談するのが適切です。
なお、「額/眉間/こめかみ」「ほうれい線/前頬/側頬」のように複数の部位が1行にまとめて書かれている場合、その価格が「どれか1部位」の料金なのか、記載された範囲全体の料金なのかは、価格表だけでは分かりません。部位ごとの細かい読み方は「MIOのフィラー価格表を部位ごとに全部読むと何がわかる?」で詳しく説明しています。
ccで売られているものもある:ジュベルックボリュームと唇リジュラン
フィラーに近い注入施術でも、MIOの価格表でcc単位になっているものがあります。部位別のフィラーとは価格の単位が違うので、並べて比べないよう注意が必要です。
- ジュベルックボリューム:2cc KRW 249,000(約26,900円)/4cc KRW 349,000(約37,700円)
- 唇リジュラン HB 1cc:KRW 175,000(約18,900円)
たとえば「唇フィラー(韓国製)99,000ウォン」と「唇リジュラン HB 1cc 175,000ウォン」は、どちらも唇に使う施術ですが、前者は部位の料金、後者は1ccの料金で、目的も違います。金額の大小だけで「どちらが割安か」を判断することはできません。フィラーとスキンブースターの目的や注入する深さの違いは「フィラーとスキンブースターは何が違う?」で解説しています。
見積もりと実際の施術を一致させるための確認リスト
カウンセリングで提示された金額が、実際に受ける施術の内容と合っているかを確かめるには、次の点を確認すると安心です。
- 製剤の名前:輸入ラインならジュビダーム・レスチレン・ベロテロのどれか、韓国製ならどの製品か。同じ部位でも価格が数倍違う理由がここにあります。
- 部位の範囲:「ほうれい線」は両側か片側か、「額/眉間/こめかみ」はどこまで含むのか。
- 今回の見積もりに含まれる量:何ccの予定か、その量を超えたら追加料金がかかるのか。必要な量は診察で決まるため、事前に断定はできませんが、「どの時点で量を決めるのか」「追加になる場合はいくらか」を聞いておくと、当日の判断がしやすくなります。
- 麻酔:MIOの価格表では、フィラーのほとんどの行が「麻酔が必要」と分類されています(韓国製の顎先フィラーのみ「短いチクッとした痛み」の分類です)。麻酔が料金に含まれるかどうかも確認してください。
- VAT:MIOの公開価格はVAT別です。支払い総額はこれに税が加わります。
- 医師の指名:MIOでは医師を指名すると KRW 100,000(約10,800円)が加算されます。指名しない場合は予約時に担当が決まります。
- 修正・溶解の扱い:仕上がりが気になったときに再調整ができるか、ヒアルロン酸を溶かす場合の費用はどのくらいか。MIOの価格表では、溶解注射(ヒアルロニダーゼ)は自院で行ったフィラーの場合 KRW 50,000(約5,400円)、他院で入れたフィラーの場合 KRW 100,000(約10,800円)です。考え方は「ヒアルロン酸フィラーを溶かしたいとき、費用はいくら?」で解説しています。
MIOでは、カウンセリングの前に精密な臨床写真とAIを活用した顔の分析を行い、そのデータをもとに施術計画を立てます。顔の骨格や左右差を数値でとらえたうえで医師が判断するため、「どの部位に・どのくらい」という提案の根拠が分かりやすくなります。分析は診断をするものではなく、最終的な判断は医師が行います。また、肌の分析は追加費用なしで受けられます。
MIOには経験のある医師が在籍しており、それぞれに主な専門分野があります。フィラーを主な分野の一つとしているのは、院長のチョン・グヒョン医師とシン・スンヨン医師です。カウンセリングでは「この部位のこの量だと、どのラインでいくらになりますか」と、製剤と量を指定して質問すると、受け取った金額と実際の施術内容を照らし合わせやすくなります。
価格以外に知っておきたいこと:痛み・ダウンタイム・持続期間・向かない方
価格を比べるときは、施術後の経過や向き・不向きも合わせて確認しておくことが大切です。
痛み:注射のため、チクッとした痛みや押されるような感覚があります。多くの部位で麻酔を使うのは、鼻や唇のように感覚が敏感な部位があるためです。
ダウンタイム:注入部位の腫れ、赤み、内出血は比較的よく起こります。多くは数日から1〜2週間ほどで落ち着きますが、個人差があります。施術直後は腫れによって形が完成時と違って見えることがあるため、施術当日の見た目だけで判断しない方がよいでしょう。
リスク:しこりや左右差のほか、まれに血管内に製剤が入ることによる血流障害など、早めの対応が必要な合併症があります。強い痛み、皮膚の色が白くなる・紫色になるなどの変化があれば、すぐにクリニックへ連絡してください。
持続期間:製剤の種類と部位によって幅があり、一般的には数か月から1年以上と言われますが、個人差があります。輸入ラインと韓国製ラインのどちらが長く持つかを一般論で断定することはできません。
向かない方:注入する部位に炎症や皮膚の感染がある方、妊娠中・授乳中の方、過去にフィラーで強い反応が出たことがある方は、施術自体を見送るか、医師と慎重に相談する必要があります。また、仕上がりを1回で劇的に変えたい場合も、自然な仕上がりを優先する考え方とは合わないことがあります。
旅程の組み方:MIOの価格表では、フィラーの旅程の目安はすべて「初日」です。腫れが落ち着く時間と、帰国前に経過を確認できる時間を確保するためです。MIOは日曜日も診療しているので、週末を含む短い滞在でも初日に予約を入れやすくなります。日程の考え方は「韓国・ソウル旅行でヒアルロン酸フィラーを「初日」に入れる理由」もご覧ください。
部位別の価格表は、一見シンプルですが、製剤・範囲・量・税・指名料によって実際の支払い額が変わります。部位の名前だけで比べず、提示された金額が「どの製剤で、どこまで、何が含まれているか」を一つずつ確認することが、納得して施術を受けるための近道です。
FAQ
Q. ソウルのフィラーは、なぜ1ccの値段で比べられないのですか? A. 部位ごとの料金には、その部位を仕上げるための施術の手間や麻酔が含まれていることが多く、何cc入るかは価格表に書かれていないことがほとんどです。1ccあたりの価格と比べるには、予定している注入量を確認する必要があります。
Q. 同じ部位なのに、価格が数倍違うのはなぜですか? A. 使う製剤が違うためです。MIOの価格表では、同じ部位に輸入ライン(ジュビダーム・レスチレン・ベロテロ)と韓国製ラインの2行があり、たとえば唇は KRW 349,000 と KRW 99,000(いずれもVAT別・執筆時点)です。
Q. 部位の料金で、注入量はどのくらいですか? A. 必要な量は、顔の状態と仕上がりの希望を見たうえでカウンセリングで決まるため、事前に決まった量はありません。予定している量と、それを超えた場合の扱いを当日に確認してください。
Q. 見積もりには税金や麻酔が含まれていますか? A. MIOの公開価格はVAT別です。麻酔については、フィラーのほとんどの行が麻酔ありの施術に分類されていますが、料金に含まれるかどうかはカウンセリングで確認してください。医師を指名する場合は KRW 100,000 が加算されます。
Q. ジュベルックボリュームの価格とフィラーの価格を比べてもいいですか? A. 価格の単位が違うので、そのままは比べられません。ジュベルックボリュームは2cc・4ccのcc単位、フィラーは部位単位で表示されています。施術の目的も異なるため、金額だけで判断しないことをおすすめします。
Q. 仕上がりが気に入らなかった場合はどうなりますか? A. ヒアルロン酸のフィラーは溶解注射(ヒアルロニダーゼ)で溶かせる場合があります。MIOの価格表では、自院で行ったフィラーの溶解は KRW 50,000、他院のフィラーは KRW 100,000 です。再調整の扱いは事前に確認しておくと安心です。
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