韓国・ソウルのクリニックの価格表を見ると、「鼻フィラー」「唇フィラー」のように部位は同じなのに、行が2つ並んでいて価格が2〜3倍違う、ということがよくあります。これは施術の内容が違うからではなく、注入する製剤(ヒアルロン酸のブランド)が違うからです。多くの場合、上の行が輸入製剤(ジュビダーム、レスチレン、ベロテロなど)、下の行が韓国製の製剤を指しています。医師の腕が2段階あるわけでも、注入量が自動的に増えるわけでもありません。この記事では、その分かれ方が実際にどう書かれているのか、価格差は何の差なのか、そしてカウンセリングで必ず確認しておくべき点を、誇張せずに整理します。
なお、この記事で挙げる金額はMIO Clinicが執筆時点で公開している価格で、すべて付加価値税(VAT)別です。実際に支払う額や必要量は一人ひとり異なり、事前に断言できるものではありません。円換算は1万ウォン=約1,050円で計算した概算で、為替により変わります。
価格表の「輸入」と「韓国製」は、何を指しているのか

フィラーの行に括弧で書かれているのは、ほとんどの場合製剤名(ブランド名)です。MIO Clinicのメニューでは、括弧の中が「ジュビダーム, レスチレン, ベロテロ」と書かれている行が輸入製剤、「韓国製」と書かれている行が国内製剤にあたります。
ここで大事なのは、両方ともヒアルロン酸(HA)フィラーであるという点です。まったく別の成分を入れるわけではありません。違いは、ヒアルロン酸をどう架橋(分子同士をつなぐ加工)しているか、粒子の大きさ、ゲルの硬さや粘り、水を抱える性質といった物性にあります。この物性が、注入後にどのくらい形を保つか、触れたときの感触、どの層に入れるのが向いているかに関わってきます。
ボツリヌストキシン(ボトックス)製剤にも同じように価格帯の違いがありますが、フィラーとは性質がまったく異なります。トキシンは筋肉の動きを抑えるもので時間とともに切れていきますが、フィラーは組織の中に残って体積をつくるものです。ですので「同じように3段階だから同じ考え方でいい」とは言えません。トキシン側の考え方については、同じ「エラボトックス」なのに価格が3つあるのはなぜ?で別途まとめています。
実際にどのくらい差があるのか(MIO Clinicの公開価格)
執筆時点でMIO Clinicが公開している価格を、同じ部位で並べると次のようになります。いずれもVAT別です。
| 部位 | 輸入(ジュビダーム/レスチレン/ベロテロ) | 韓国製 |
|---|---|---|
| 鼻 | KRW 369,000(約38,700円) | KRW 139,000(約14,600円) |
| 額・眉間・こめかみ | KRW 349,000(約36,600円) | KRW 129,000(約13,500円) |
| 唇 | KRW 329,000(約34,500円) | KRW 99,000(約10,400円) |
| ほうれい線・前頬・側頬 | KRW 269,000(約28,200円) | KRW 99,000(約10,400円) |
| フェイスライン・マリオネット | KRW 269,000(約28,200円) | KRW 99,000(約10,400円) |
| 顎先 | KRW 249,000(約26,100円) | KRW 79,000(約8,300円) |
比率にすると、おおよそ2.6〜3.3倍の開きです。同じ「唇フィラー」という名前でも、選ぶ行によって支払額がこれだけ変わります。
一方で、すべての部位に2つの選択肢があるわけではありません。たとえば涙袋フィラー(ベロテロソフト)はKRW 349,000(約36,600円)、しわフィラー(額・首/ベロテロソフト)はKRW 269,000(約28,200円)で、韓国製の行そのものが用意されていない部位もあります。デリケートな部位ほど、使う製剤があらかじめ限定されていることがある、と理解しておくとカウンセリングで戸惑いません。
また、韓国製の行にはボトックスと組み合わせたセットが用意されていることがあります。唇フィラー+口角ボトックス(韓国製)がKRW 109,000(約11,400円)、顎先フィラー+顎(梅干し)ボトックス(韓国製)がKRW 89,000(約9,300円)です。単品と見比べるときは、何がセットに含まれているかを行ごとに確認してください。
価格が高いほうが「自然に仕上がる」のでしょうか
ここは正直にお伝えします。価格の高さが仕上がりの自然さを保証するものではありません。
輸入製剤は世界的に使用歴が長く、公開されている臨床データや製品ラインの細分化(硬めの製剤、柔らかい製剤、浅い層向けの製剤など)が進んでいるものが多い、という違いがあります。医師が「この部位にはこの硬さを使いたい」と選択肢を細かく持てる、という意味での差です。
ただし、フィラーの仕上がりを最終的に決めるのは、製剤そのものよりも次の3つの要素の比重が大きい、というのが一般的な見方です。
- どの層に、どの方向から、どれだけ入れるかという設計
- 入れすぎないこと(不自然さの多くは、製剤の種類ではなく量の過剰から生まれます)
- もともとの骨格・皮膚の厚み・脂肪の付き方といった個人差
つまり、韓国製を選んだから不自然になる、輸入を選んだから必ず自然になる、という単純な関係ではありません。MIO Clinicは全体として「入れすぎない」「まず診てから量を決める」という保守的な方針を取っていますが、それでも結果には個人差がありますし、同じ製剤・同じ量でも見え方は人によって違います。
持続期間についても、製剤や部位によって傾向は語られますが、代謝の速さ、表情筋の動きの強さ、入れた層によって実際の持ちは変わります。「何か月もつ」と断言できる数字はありませんので、そう言い切る説明があれば、いったん保留にして考えてよい部分です。
ダウンタイムと旅程の組み立て(これは製剤の種類とは別の話)
フィラーは注射である以上、腫れと内出血の可能性は製剤の価格帯にかかわらずあります。
- 注入直後〜数日は、むくんだように見えることがあります。特に唇は腫れやすい部位です。
- 内出血が出た場合、消えるまでに数日〜1週間程度かかることがあります。コンシーラーで隠せる程度のこともあれば、そうでないこともあります。
- 直後は「入れすぎたのでは」と感じることがありますが、落ち着くまで時間が必要です。その場で追加を決めないほうが安全です。
MIO Clinicのメニューでは、フィラー系の施術は基本的に麻酔を使う前提として案内されており(顎先フィラー〈韓国製〉のように、しみる程度と案内されているものもあります)、旅行のスケジュールとしては滞在の初日に入れることが推奨されています。帰国便の直前ではなく、腫れが引いていく数日を韓国で過ごせる組み方のほうが、万一気になることがあったときに相談できます。痛みの感じ方や麻酔の種類については韓国・ソウルの施術は「どのくらい痛い」のか、旅程の逆算は施術は「初日」と「最終日」どちらに入れるべき?にまとめています。
「溶かせる」という出口を、入れる前に確認しておく
ヒアルロン酸フィラーの大きな特徴は、ヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸溶解注射)で溶かすという選択肢があることです。MIO ClinicではヒアルロニダーゼがKRW 50,000(約5,300円・VAT別)で公開されています。
これは「気に入らなければ簡単に元通りにできる」という意味ではありません。溶解にも注射が必要で、腫れが出ることもありますし、思ったとおりの量だけを部分的に溶かせるとは限りません。溶解そのものが別の施術です。
それでも、入れる前にこの出口の存在と費用を把握しておくことには意味があります。特に初めてフィラーを入れる方は、「万一違和感が残ったらどうするのか」をカウンセリングの場で一度話題にしておくと、判断が落ち着きます。
カウンセリングで確認しておきたいこと
価格表の行を選ぶ前に、次の点を確認してください。どれも遠慮なく聞いてよい質問です。
- 製剤の名前を具体的に教えてください。 「輸入」「韓国製」というカテゴリ名ではなく、実際に使う製品名です。可能であれば施術直前にパッケージを見せてもらってください。韓国では、こうした製剤は医療機器として許可を受けたものが使われることが前提になっています。
- なぜこの部位にこの製剤なのか。 硬さや粘性が部位に合っているか、という説明が返ってくるかを見てください。
- 今日は何cc入れる予定か。表示価格に含まれる量はどこまでか。 追加分が発生する場合の単価も先に聞いておきます。
- 今日は入れない、という選択肢はあるか。 保守的な判断ができる場かどうかが分かります。
- 腫れが長引いたら、帰国後はどう連絡すればよいか。 連絡手段と、記録(使用製剤名・部位・量)をもらえるかを確認します。帰国後のやりとりについては帰国後のアフターケアはどうする?も参考にしてください。
なお、担当医を指名する場合はKRW 100,000(約10,500円)が追加になります。表示価格はいずれもVAT別ですので、最終的な支払額は表示額に指名料などを加えた金額の1.1倍が目安になります。単位や追加費用の読み方は韓国・ソウルのクリニックの価格表はどう読む?で詳しく整理しています。
フィラーが向かない・見送ったほうがよい場合
- 注入部位に炎症やニキビ、感染がある場合。 まず落ち着かせてからになります。
- たるみが主な悩みの場合。 皮膚のゆるみにフィラーを足して持ち上げようとすると、量が増えて重たく見えることがあります。この場合は別のアプローチが検討されます。
- 翌日に大きな予定(挙式・撮影・重要な面談)がある場合。 内出血の可能性を考えると、直前は避けたほうが無難です。
- 仕上がりのイメージが「特定の誰かの顔」である場合。 骨格が違えば同じようにはなりません。近づけたい方向を言葉で共有するほうが、結果への納得感が高くなります。
- 妊娠中・授乳中の方、抗凝固薬を服用中の方など。 事前に申告が必要です。
- 予算の都合だけで部位や量を決めようとしている場合。 安い行を選んで量を増やす、という判断は本末転倒になりやすい部分です。
この記事のまとめ
価格表で行が2つに分かれているのは、施術の格が2つあるからではなく、入れるヒアルロン酸製剤が違うからです。差は2.6〜3.3倍になりますが、それは「自然さの差」ではなく、製剤の物性と流通の差です。仕上がりを左右するのは、どの層にどれだけ入れるかという設計と、入れすぎないことです。
ですので、価格表を見るときは「高いほうを選べば安心」でも「安いほうで十分」でもなく、製剤名を聞き、量を聞き、なぜその選択なのかを聞く。その3つが確認できたうえで選んだ行であれば、どちらを選んでも納得のいく判断になります。
FAQ
Q. 輸入フィラーと韓国製フィラーは、成分そのものが違うのですか? A. どちらもヒアルロン酸(HA)フィラーで、まったく別の成分というわけではありません。違いは架橋の方法、粒子の大きさ、ゲルの硬さや粘りといった物性です。この物性によって、向いている注入層や部位が変わります。
Q. 価格が高いほうが自然に仕上がりますか? A. 価格が自然さを保証するものではありません。輸入製剤は製品ラインが細かく、医師が硬さを選び分けやすいという違いはありますが、仕上がりを大きく左右するのは注入の設計と量、そして個人差です。結果には個人差があります。
Q. 韓国製フィラーは安全なのでしょうか? A. 韓国では、こうした製剤は医療機器として許可を受けたものが使われることが前提になっています。そのうえで、施術前に製品名を確認し、可能であればパッケージを見せてもらうことをおすすめします。これは輸入・韓国製のどちらを選ぶ場合でも同じです。
Q. 腫れや内出血はどのくらい続きますか。帰国日に入れても大丈夫ですか? A. 数日程度むくんだように見えることがあり、内出血が出た場合は数日〜1週間ほど残ることがあります(個人差があります)。特に唇は腫れやすい部位です。MIO Clinicのメニューではフィラーは滞在の初日に入れることが推奨されており、帰国便の直前は避けるほうが無難です。
Q. 気に入らなかった場合、溶かせますか。費用はいくらですか? A. ヒアルロン酸フィラーはヒアルロニダーゼ(溶解注射)で溶かすという選択肢があり、MIO Clinicでは執筆時点でKRW 50,000(約5,300円・VAT別)で公開されています。ただし溶解も注射を伴う別の施術で、狙った量だけを部分的に溶かせるとは限りません。
Q. 表示価格のほかに、かかる費用はありますか? A. 掲載価格はすべてVAT別ですので、最終的な支払額は表示額の1.1倍が目安になります。担当医を指名する場合はKRW 100,000(約10,500円)が追加されます。必要量によって金額は変わるため、事前に総額を断言することはできません。カウンセリング時に、含まれる量と追加分の単価を確認してください。
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